高齢出産の方は、これまで仕事を一生懸命がんばってきた人も多く、少し体調が悪くても我慢して仕事を続けていた方もおられると思います。
そして仕事に穴を開けないように、努力してきた人も多いと思います。しかし妊娠中は、無理の効かない状況があります。
特に高齢出産では、出血とお腹の張りに注意が必要です。
自分自身と赤ちゃんの体調をどのように把握していけばいいのでしょうか?簡単に説明していきます。
出血とお腹の張りに注意する
高齢出産の方が1番気をつけたいのが、出血とお腹の張りです。ただし個人個人で妊娠の状況は違いますから、担当の医師や助産師にまずは相談してみましょう。次のような項目に当てはまれば、妊娠経過は順調だと考えられます。
- 妊婦健診で問題のない経過である。
- 血圧が安定し体重増加も適正である。
- 自分自身の体調が良く不正出血がない。
- 20週を超えた頃から胎動を感じる。
逆に下記の場合は、注意が必要です。
- 膣からの出血がある。
- 休んでいても腹痛が取れない。寝ていても目覚めるような強い腹痛がある。
- 血圧が上昇し、上が140mmHgを超える。下が90mmHgを超える。
- 20週を超えても胎動が少ない。胎動を感じない。
個人個人で状況は違いますので、まずは医師や助産師に相談してみましょう。
出血に関して
高齢出産であろうと妊娠12週までは、少量の場合を含めると出血を経験することは少なくありませんが、妊娠12週を過ぎると、出血することはほとんどありません。
特に妊娠10週頃までに出血が起きた場合は、初期流産となる可能性があります。ただし多くの自然流産は、治療で止めることができません。受精卵や胎児そのものに問題があり、うまく育たなくて流産になるということです。
つまり自然淘汰されるということです。しかし、もし流産になったとしても誰のせいでもありませんから、自分を責めることがないようにしてください。
その他に出血の原因としては、子宮の中に血液が貯まる「絨毛膜下血腫(じゅうおうまくかけっしゅ)が原因で出血することがあります。この場合は適度な安静が必要となり、多くの場合は、時間経過とともに、血腫は吸収されて消失していきます。
妊娠12週までは出血に注意していて下さい。
お腹の張りに関して
高齢出産であろうとなかろうと、お腹の張りが起きることがあります。
その原因となるものは生理的なものから、切迫流産、切迫早産に関連したもの、子宮筋腫、卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)によるもの、便秘によるものなど様々です。
子宮は妊娠経過とともに、赤ちゃんや胎盤が大きくなり、羊水量が増えるに従って大きくなっていきます。子宮が大きくなると、生理的に軽い子宮収縮が起きて、お腹が張ることがあります。
長い時間立っているときに特に起こりやすくなります。また、横になったり、腰掛けたり、休息をとっている間に治ってしまえば、あまり気にすることはありません。
高齢出産であっても、妊娠24週をこえる頃には、病院での緊急対応によって赤ちゃんの命を助けることができます。特に妊娠28週を超えて赤ちゃんの体重が1,000グラムを超えれば、現在の日本の周産期医療では、後遺症なく多くの赤ちゃんを救うことができます。
強い痛みや出血、胎動が少ないなどの心配があれば、病院で受診したほうがいいです。
お腹に強い痛みがあったり、出血があったりする場合は、「常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)」(正常な位置にある胎盤が、胎児の娩出よりも前に子宮壁からはがれること)といって、赤ちゃんの命に関わる緊急事態となる場合があります。
この原因として、妊娠高血圧症候群や喫煙、子宮内感染(膣から進入した雑菌による感染が子宮内に入ること)などが発症の原因とされています。
ただし原因がはっきりしないこともありますので、お腹の張りが強くなったり、膣からさらさらとした出血が起こったら、すぐに受診したほうがいいです。そうすれば、緊急の帝王切開術で母子の命を助けることができます。
お腹の張りが強くなったらすぐに受診しましょう。