初めて出産をされる母親の皆さんに伝えておきたいことは、母乳育児のメリットについてです。
母乳育児は、赤ちゃんにとっても、母親にとってもメリットがあります。
それでは、母乳育児のメリットとは何があるのでしょうか?
簡単に説明していきます。
母乳育児での赤ちゃんのメリット
母乳は赤ちゃんにとって、理想的な栄養であるのはもちろん、さまざまな健康上のメリットがあることがわかっています。
母乳育児はまず第一に、赤ちゃんの感染症を予防します。
母乳を与えることにより、下記の感染症の発生率と重症度が低下することがわかっています。
- 下痢
- 中耳炎
- 髄膜炎
- 壊死性腸炎
- 呼吸器感染症
- 尿路感染症
- 早産児における重症感染症
アメリカで行われた研究では、母乳で育てられている赤ちゃんでは、新生期以降の乳児死亡率が21%ほど低下することが明らかとなっています。このことは特に、途上国において、母乳育児が大きな意味を持つということです。
水・電気・ガスが十分になく、栄養が思うようにとれない地域では、最も弱い立場にいるのが赤ちゃんです。
赤ちゃんは、感染症で命を落とすことがとても多いからです。
また母乳育児では、下記の発症頻度が減少することが知られています。
- 生後1年以内SIDS(乳幼児突然死症候群)
- 1型・2型糖尿病・リンパ腫
- 高コレステロール血症
- ぜんそくの発症
- 肥満
- 白血病
上記のように赤ちゃんや乳児期だけでなく、大人になっても母乳で育ったメリットを受けられる点も注目されています。
さらに早産で生まれた赤ちゃんにとっても、母乳育児は貴重です。早産となった母親の母乳は、正期産の場合より、脂肪・タンパク質・ナトリウムなどが多く、早産児に適した栄養の組成となっています。
赤ちゃんにとっては、母乳の方が粉ミルクよりも効率よく消化吸収できるため、感染や壊死性腸炎の発症も予防してくれます。
母乳育児は赤ちゃんにとって、感染症の予防以外にもさまざまなメリットがあります。
母乳育児での母親のメリット
母乳育児は、母親にとってもメリットがたくさんあります。
まず1つ目は、母親の体の回復です。
赤ちゃんにおっぱいを吸われる刺激で、脳からプロラクチンというホルモンと、オキシトシンというホルモンが作られます。プロラクチンは、乳腺で血液から母乳を産生し、オキシトシンは、乳管に母乳を押し出します。
このオキシトシンには、同時に子宮収縮を促す働きがあるため、子宮からの出血が減り、子宮の回復を助けてくれるのです。さらにオキシトシンは、母子の愛着形成にも作用していると言われています。
豊かになり便利になった現代社会において、親子関係に問題を抱えてる人々は少なくありません。先進国においては、この親子の絆を構築する母乳の働きが、見直されています。
一方、母乳分泌に関わるもう一つのホルモンであるプロラクチンは、乳汁産生・分泌を促すホルモンですが、睡眠を促す作用もあります。
そのため、授乳が終わるたびにすぐに眠りにつけるメリットがあります。
生後すぐは、1日に12回ほどの頻回な授乳回数となりますが、母親が授乳することで、昼夜にこまぎれでも睡眠がとりやすくなるのです。
赤ちゃんが授乳でお腹がいっぱいになり、眠たくなったとき、一緒にお母さんも眠りにつけるので、短時間でも深く効率よく眠ることができるメリットがあります。夜中に起こされても、体は復活しやすくなります。
また母乳育児には、妊娠前の体重に早く戻り、乳がんや卵巣がんのリスクが減るなどのメリットがあります。
出産や母乳育児を通じて、自分の健康管理を意識することも大切なことです。乳がんの定期検診を積極的に受けたり、自分自身で乳房の触診を続けることが、乳がんの早期発見にもつながります。
このように、母乳育児を行うことは、赤ちゃんのみならず、母親の体の回復にも役立ち、総合的なメリットがあるわけです。
母乳育児の母親側のメリットとして、体の回復や早く眠りにつけること、乳がんや卵巣がんのリスク低減などがあります。