母乳育児は最初のうちは思うようにいかないかもしれません。

しかし、母乳育児のコツをつかみ、そこを乗り越えると多くの人が、無理なく上手に母乳をあげられるようになります。

それでは、母乳育児のコツとはなんでしょうか?

また粉ミルクは必要でしょうか?

簡単に説明していきます。

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母乳育児のコツは慣れるまで根気強くすること

母乳は赤ちゃんが生まれたからといって、母親のおっぱいからひとりでに溢れ出てくるものではありません。また赤ちゃんも最初から上手に吸えるわけではありません。

最初のうちは、なかなか思うようにはいかないものです。しかし、コツを覚えると、無理なく上手に母乳をあげられるようになります。それには最初の時期がとても重要です。

母乳は赤ちゃんが乳首を吸う刺激によって、だんだんと作られるようになり、そうしてたくさん出るようになると、赤ちゃんも少しずつ吸えるようになります。

このように、母乳育児は母親と赤ちゃんの「初心者同士の共同作業」によって上手になっていくものです。

最大のコツは、赤ちゃんが泣いておっぱいを欲しがった時に授乳することで、これを「自律授乳」と言います。この繰り返しで、母乳はスムーズに出るようになり、赤ちゃんも上手に吸えるようになります。

乳首を傷つけないためには、乳輪部分を赤ちゃんに深く吸いつかせることが大切です。乳輪の茶色の部分が、外からは全部見えなくなるぐらい深く吸いつかせるのが目安となります。

出産後は早期から「母子同室」にして、母親と赤ちゃんが一緒に過ごせるようにしましょう。そして、赤ちゃんの欲しがるペースでおっぱいをあげる自律授乳ができるようにしておくことです。

産まれてすぐに素肌の上に赤ちゃんを抱っこし、30分以内に初回授乳をする「早期皮膚接触」も、母乳育児にとってとても良い刺激となります。この時、赤ちゃんの呼吸状態をモニターで監視しながら、安全面に配慮して行います。

また帝王切開の場合でも、母乳育児をできるだけ早期から開始することが大切です。病院によっては帝王切開の場合には、赤ちゃんを別室でお預かりすることもありますが、「すぐに授乳をしたい」と相談してみるとよいでしょう。

少しお腹が痛むかもしれませんが、早い時期に赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらうことが、その後の母乳育児を上手に行っていくコツです。

高齢①

赤ちゃんが泣いて欲しがった時に、授乳をすることがコツです。

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母乳育児のコツはあせらないこと

夜中も十分に眠ることができない日々の中、赤ちゃんがうまく吸ってくれず、おっぱいもカチカチになる場合があります。そんなときに赤ちゃんの体重が落ち始めると、母親はとても心配になります。

しかし、出産後の赤ちゃんの体重は10%近く減少することがあります。これは例えば、3,000グラムほどで生まれた赤ちゃんなら、300グラムぐらい減少することに相当します。

減少していく体重は、生後4日目ごろから横ばい、もしくは上昇に転じて、しばらくすると元の体重に戻り、さらに増加していくことが多いです。

「赤ちゃんはお弁当と水筒を持って生まれてきた」と言われるとおりです。

もし、赤ちゃんが頑張ってあごを動かしながら、一生懸命おっぱいを吸おうとしている隣に、哺乳瓶に入った粉ミルクを持ってくるとどうなるでしょうか。

赤ちゃんは努力をしなくても、楽に粉ミルクを思う存分に必要なだけ飲めて、味も工夫され口当たりも良い哺乳瓶での粉ミルクのほうに飛びついてしまいます。

そして哺乳瓶での粉ミルクに一度慣れてしまうと、おっぱいを吸うのは楽ではないので、敬遠されてしまいます。せっかく始めた母乳育児がうまくいかなくなってしまうわけです。

ですから、体重減少だけですぐに粉ミルクを与える必要はありません。

病院では血糖値を測り、下記の症状を総合的に判断して、粉ミルクが必要かどうかを判断します。

  • 赤ちゃんが元気であるかどうか
  • 体重減少が鈍くなってきているか、横ばいから上昇に転じているか
  • 尿が十分に出ているか
  • 母親の母乳分泌が軌道に乗ってきているか



糖水の補足で様子を見ることもあります。また、補足の場合にスプーンや紙コップなどを使って飲ませることもあります。

普通の哺乳瓶よりも吸いにくく、あごを動かさないと吸えないものを使うことがコツです。

そして、一時的に粉ミルクを補足しても、母乳育児を損なわないような配慮が必要となります。

高齢①

赤ちゃんの体重が減少したからといって、あせる必要はありません。根気よく母乳育児を続けることです。

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粉ミルクを足すときのコツ

出産直後は体力的にはとても疲れていると思います。退院後、しばらくの間は夫に粉ミルクを作って飲ませてもらう必要がある人も多いことでしょう。その間は、母親はまとまった時間を眠ることができ、次の授乳に備えることができます。

しかし、しばらくすると、おっぱいが少しずつ出るようになり、乳房が張ってきてからは赤ちゃんに飲んでもらったほうが楽になり、だんだん母乳育児が楽しめるようになると思います。

完全母乳にするか、それがうまくいかなければ母乳をすべて諦めてしまうのではなく、どうしても必要な時は、粉ミルクをあげながら、赤ちゃんの欲しがる期間は母乳育児を続けてみるのはどうでしょうか。

ただ、粉ミルクを足すときに注意したいのは、「乳頭混乱」といって、お母さんの乳首と哺乳瓶の乳首と両方を与えると、赤ちゃんが混乱してしまうことです。

まだ上手におっぱいを飲めない赤ちゃんにとっては、哺乳瓶で粉ミルクを飲む方が、母親のおっぱいを飲むよりはるかに吸いやすいのです。すると、どうしても吸いやすい哺乳瓶を好み、おっぱいを飲まなくなってしまいます。

粉ミルクを足すときには、赤ちゃんがしっかりとあごを動かさないと吸えない哺乳瓶を選ぶのがコツで、また母親がスプーンで飲ませるという方法があります。

そして粉ミルクを足す場合にも、まずおっぱいを吸わせてからミルクを足すというのがコツです。おっぱいを吸わせることを止めてしまうと、母乳は簡単に出なくなってしまうからです。

単胎で正期産で、赤ちゃんに問題がない場合、退院時の母乳率(退院直前の24時間の母乳率のことで、糖水や粉ミルクを加えないで、母乳のみを与えた場合)は、経産婦さんではどの年齢層でも90%程度ですが、初産で30代後半の場合は、80%、40代では70%近くになります。

特に40代の初産で、帝王切開の場合には、50%近くに落ちるようです。高齢出産で特に帝王切開の場合には、出産後すぐは母乳だけではうまくいかない場合も多いということです。

しかし、2か月を過ぎると、母親も赤ちゃんもお互いにずいぶんと慣れてくるはずです。その頃になると、赤ちゃんが母親を見てうれしい時に、にっこり笑うようになります。

新生児の頃の条件反射のような笑顔とは違って、本当に心の底からうれしそうに笑うのです。これは、気持ちが分かり合えるコミニケーションの最初の1歩です。

赤ちゃんは集中しておっぱいを飲んでくれ、授乳後はぐっすりと眠ってくれるようになります。

母親も、自分のやりたいことをうまく生活の中に組み込んでいくことができるようになると思います。それぞれの親子に合う母乳育児をしてほしいものです。

高齢①

粉ミルクを足す場合も、まずはおっぱいを吸わせてからにしましょう。

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母乳育児での服薬が心配な場合

母乳育児を行っている時期に、風邪薬などを服用しても、赤ちゃんへの心配はありません。

むしろ薬を服用するために、母乳を一時的に中止してしまうことのほうが問題です。母乳を一時的に止めることで、結果的に母乳の分泌が低下してしまうわけです。

吸われる刺激がなくなると、母乳の産生が低下して、数日間母乳をあげないだけでも出なくなってしまうことがあります。一度でなくなってしまうと、分泌を回復させるのは、なかなか難しいことです。

つまり、母乳を中断することなく、母乳育児を継続するのがコツとなります。

薬を処方される場合には、授乳中であることを医師に話して、授乳の継続についてきちんと相談してみてください。多くの内服薬は、授乳を継続することができます。

また薬の服用を、授乳の後にすることで、母乳への移行を最小限にするというのもコツです。

「産後うつ」で抗うつ薬を使うことになった場合、「母乳を止めてください」と言われることがあります。しかし、母親の希望を無視した母乳育児の中止は、かえって母親の自信喪失につながり、母子関係に悪影響をもたらすこともあります。

抗不安薬や、抗うつ薬を使用しながら、母乳育児を続けることが可能な場合がありますので、妊娠・授乳期の薬相談外来などを利用してみてください。

高齢①

多くの内服薬は、授乳を継続することができますので安心してください。

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母乳育児は災害に強い

東日本大震災のような大災害が起こると、私たちが日常当たり前のように使っている電気やガス・水道が突然使えなくなります。

そして、災害時に最も弱い立場に置かれるのは、赤ちゃんです。

母乳は感染症や下痢を防ぎ、母親のおっぱいの温もりに包むことで、赤ちゃんを恐怖から守ることができます。

粉ミルクを準備するためには、たくさんの清潔な水や電気、ガスが必要です。被災地に哺乳瓶と粉ミルクがたくさん送られても、実際には水、電気、ガスがないと、正しい調乳をすることができません。

現に途上国では、きれいな水や清潔な哺乳瓶を維持できずに、正しい調乳ができず、不衛生な水や薄めて作った粉ミルクで、多くの赤ちゃんが感染を起こして命を落としています。

粉ミルクには、電気、ガス、水が必要ですが、母乳は何もないところでもあげることができます。

そうはいっても、緊急時には母親にもストレスがかかって、授乳が難しい場合もあるでしょう。

粉ミルクが必要では無いと言っているわけではなく、授乳中の母親が安心して授乳を続けられるような周囲の配慮や、よりいっそうのサポートが大切だということです。

高齢①

災害時は、母親が安心して授乳を続けられるような周囲の配慮や、よりいっそうのサポートが大切です。

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母乳をあげられない母親へ

先進国では親と子の絆の形成という面からも、母乳育児が大きく見直されています。

もしさまざまな理由で、母乳が出ない場合でも赤ちゃんには粉ミルクをあげる必要があります。母親がしっかり抱っこして、赤ちゃんの目を見つめながら行えば、赤ちゃんとの絆は深まっていきます。

つまり、「母乳栄養」ではなくて「母乳育児」が大切です。

粉ミルクであっても、たくさんの愛情を注いで、赤ちゃんを抱っこしながら育てていってほしいものです。

このような密度の濃い親子の時間は、長い人生の中でほんの短い間でしかありません。赤ちゃんが大きくなってしまうと、もう二度とめぐってこないかけがえのない時間となります。

高齢①

母乳が出なかったとしても、粉ミルクをあげながら、赤ちゃんとの親子の絆を深めてください。